東京カルチャークラブ岩淵水門・荒川放水路見学報告(2023/9/2土)

徳川家康の時代、関東平野は湿地帯であり、ひとたび大雨が降ると洪水が発生し、水はなかなかひきませんでした。
徳川家康以降、数多くの治水政策が行われてきており、1600年代の利根川の流路を東京湾から太平洋に変えた(利根川の東遷)事は有名です。
大正後期まで荒川は現在の隅田川に流れており、1910年(明治43年)の大洪水により、荒川流域(現在の隅田川流域)に大きな浸水被害が発生しました。
これを契機として、荒川下流改修計画が策定され、人工の川、荒川放水路(現在の荒川)約22kmが作られました。
現在の荒川下流域は人や機械が掘って作った人工の川なのです。
今回は、この人口の川・荒川放水路とその入口に存在する水門を見学に行きました。
9月2日、尾崎さん、横山さん、横浜さん、今期会員になられた加藤さん、石川の5名は、残暑の厳しい中 赤羽岩淵駅に集合して、荒川放水路と隅田川(旧荒川)の分岐点にある岩淵水門を訪問しました。
水門は新旧2つあり、旧岩淵水門(赤水門)は、1924年(大正13年)に荒川放水路が完成した時、洪水時に隅田川に荒川の水が流入するのを制限するために作られました。
その後下流域の堤防など多くの改修が行われ、水門の高さが不足したため、全面改築されることとなり、1982年に新しい岩淵水門(青水門)が作られ、旧岩淵水門はその役割を終えました。
旧岩淵水門は、2009年(平成21年)には荒川放水路とともに近代化産業遺産に認定されています。
既に水門としての役目を終えていますが、子供たちの学習の場や、人々の憩いの場として保存されております。
新旧水門、荒川放水路見学後は、荒川知水資料館アモアで治水事業の歴史を勉強しました。
ボランティアの石井様に、荒川の治水事業の歴史、現在の治水施設などを詳しく教えて頂き、多くの事を学びました。
2019年の台風19号が上陸した時、荒川から大量の水が隅田川に流入して隅田川が氾濫するのを防ぐため、通常は開けている水門(青水門)を閉鎖しました。
水門閉鎖後、観測所の最高水位が避難判断水位(6.5m)を上回る7.16mまで上昇しました。
これは、隅田川の堤防の高さを0.3m超過する水位です。
水門を閉鎖しなければ、隅田川の堤防を越水して、大規模な洪水が発生する所でした。
岩淵水門は洪水から都市を守ったのです。
資料館見学後は、JR赤羽駅まで歩き、懇親会を開催しました。猛暑でヒートアップした体を、冷たいビールでクールダウンして、名物のもつ焼きを食べながら、お互いの近況報告などで盛り上がりました。         石川 達夫(記)
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東京カルチャークラブ活動報告(2023/2/10金)

東京支部 東京カルチャークラブ活動報告(2023年2月10日)
東京支部で新しく誕生した東京カルチャークラブ、その第1回活動行事として、国立科学博物館を訪問しました。
国立科学博物館は1877年(明治10年)に創立された、日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館です。
コロナ過前の2019年には、年間250万人以上の入館者があり、標本・試料数は、230万点を誇ります。
上野本館は、日本館、地球館、それと特別展と3つの会場があり、1日ではすべてを見学することはできない規模です。
今回は、特別展、地球館の一部を見学しました。
今回訪問した特別展「毒」は、昨年11月1日から本年2月19日まで開催され、既に来場者が20万人を突破した人気の特別展です。
2月10日金曜日、関東地方は朝から雪が降り、そのため参加予定の龍さんは、大事を取って別の日程で訪問することに急遽なり、尾崎さん、横山さん、横浜さん、石川の4名での訪問となりました。
雪のため来場者は少ないと思っていましたが、ものすごい数の来場者に驚きました。
人間を含む生物に害を与える毒、その毒に対して、多くの視点から研究者が深く掘り下げ、国立科学博物館の豊富な展示資料と合わせて解説されておりました。
植物では、根・茎・葉を守るために毒を使ってそれらを外敵から守ろうとしています。
逆に動物に食べてもらって種子を運んでもらう植物は数多くあります。
未熟な果実には毒を含ませ、熟すまで食べられないようにして、熟すと動物に食べてもらうために毒性をなくし、甘みを増やし、見た目にもおいしそうに変化させます。
生き残りに毒をうまく利用しています。
動物は身を守るためだけでなく、獲物を得るために毒を用いることもあります。
古くから毒は人間にも利用されており、時には武器として、また薬としても利用されてきました。
獲物を取るために毒を活用したり、快適な生活のために、例えば蚊取り線香のように毒を利用してきました。
食文化では、本来は強い毒のため食べられないものも、毒を除去、もしくは無毒化することで、食材として活かしてきました。
ふぐがそのよい例です。
鰻も有毒動物で、血液と粘膜に毒を持っていますが、加熱することで無毒化され食べることができます。
毒のイメージが強いヒ素、クロムなどは、体内では何らかの働きをもつ必須の元素と言われています。
不足すると欠乏症になり、過剰摂取すれば中毒になり、まさに毒にもなり、薬にもなるのです。
“あらゆる物質は毒になる。毒か薬かは使う量による。” 
アルコールも体にとっては毒です。
しかし、適量であれば、薬にもなります。
まさに、毒か薬かは使う(飲む)量によります。
そんなことを考えながら、見学後は上野で懇親会を開催して、毒展の感想、近況報告などで盛り上がりました。   石川(記)
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